昨日は、友人ふたりと静岡駅で落ち合って、
パウル クレー展 (@静岡市美術館)を観た。
こういう機会をつかって、旧い友誼に浸るのだ。
ふたりは、それぞれ東京都人、埼玉県人なので、こだま(新幹線) でやって来た次第。
さて、そのクレー。
実物をみてはじめて、思ったより小品が多い作家であることを知る。
1940年に、60歳とちょっとで亡くなっているので、(立派な現代人だが)
著作権が消滅していることもあり、作品の多くが、撮影可。
なので、気になるやつを、40枚ほどデジカメで撮った。
クレーの画に向かうと、いろいろと思うことがある。
本人がどう望んでいたのかは知らないが、今日では、
リズム感ある、色調が豊かな、かたわらに置いて、生活を楽しくさせる、そんな絵画として愛でられているのでは、あるまいか。
絵画が生活調度でしかなかった、近世の伝統にいまだ縛られる日本人の感性からすると、
クレーは、もっとも人気の高い、現代作家のひとりに違いない。
クレーに限らず、自分が好むか好まないか、それを評価基準として押しとおして、芸術作品を楽しむ。
その作品についての、専門的な、来歴や意義を聴いたところで、
結局は、自分の嗜好性(=趣味) に受け入れられるのかどうか?、でいいではないか、と思う自分が在る。
が、反面。
いやいや。
絵画が、注文に応じた肖像画や、風景の再現といった〈実用性〉から解放されて、すでに久しい時間が経つのだから、そこには、
個人的な志向性とは、キッパリと区別された、なんらかの、いわば普遍的な評価基準があるべき、との思いも湧く。
クレーは、そんなことを、格別に考えさせられる作家だよなぁ、と思った昨日。
ただ、それだけのことです。
なお。
画像は、(おそらく)若い頃に描かれた、具象的な人物画。(横向きの女性)
もともと作家が有しているタッチ(筆致)がわかって、僕には、ずいぶん価値がある。
では。