その理由(わけ)を、ふたつ。
❶映画『A Hard Day’s Night』(1964年公開)は、
多忙な日々(Hard Days)を送るビートルズが、実録風に、彼ら自身を演じて魅せた、洒落たコメディだった。
当時の売れっ子アイドルがドタバタと画面を動き回る、とは言え、
白黒ということもあって、
『Saturday Night And Sunday Morning』(土曜の夜と日曜の朝、1960年英映画)に一脈通ずるような、シニカルな風刺が効いている良品。
僕の中では、これとの比較がどうしても頭をもたげる。
いくら、スタジオセッション(曲の作り込み)や、手短に演ってみせた公開演奏を描くにしてもですよ、
この後、名作アルバム『Abbey Road』(1969年秋発表)を創る力がある彼らなのだから、
見え透いたヤラセ、たわいもない会話やギャグ、そういったもので、音楽制作の仕事ぶりをうすめて見せるのは悪手だろう。
❷セッションに参加したビリー プレストン(1946~2006年) の、作品中における扱いが、あまりにも軽い。
ビリーのキーボード演奏の素晴らしさが、どれほど楽曲に寄与していることかは、一聴瞭然なのに、
映画を観るのは、ビートルズマニアだ、といった決めつけがあるから、こうなってしまうんだろうが、
なんとも敬意に欠ける、とはこのこと。
その腹いせにと、
ビリーの作った『You Are So Beautiful』(1974発表)を、ケニー ランキンがカヴァーでしているやつを聴いている。
では。