娘が昔、
プレゼントしてくれた〈41 STORIES by O.HENRY〉(ペンギン社ペーパーバック2007年版)。
『賢者の贈り物』(原題、The Gift of the Magi)は、その中でも強調して紹介されているから、
作家O ヘンリー(1862~1910)作品中の、もっとも有名なひとつだろう。
……One dollar and eighty-seven cents. That was all.
(1ドルと80セント、それがすべてだった)で始まる短編。
そして、And the next day would be Christmas. …そして、翌日はクリスマスだった、と続く。
若く貧しい夫婦が、伴侶のためにと、
妻は自慢の髪を売って、夫は祖父の形見である懐中時計を質に入れて、選んだプレゼントとは……。
(と、筋をあからさまにするといけませんので、ここくらいにボカシますが)
ヘンリー作品の真骨頂である、皮肉ななりゆき、が結末に用意されていて、
でも。
夫妻にとっては、最高のクリスマスプレゼントだった、というほろ苦くもハッピーな、人生の〈真実〉を、読者は味わえる。
真実とは、本当に起こったこと(事実)でなくともかまわない、作家が嘘(虚構)をこしらえて、
人生や人間が、本来、こうで在ったらいいなぁ、と希求する姿でありまして、
文芸とは、そういうものを、読み観る者に与えなければ価値はない、と僕は思っています(かなり真剣に)。
昨日。
僕が、家人と楽しもうと購ったのが、れーずんくっきー(by藤むら)。
で、家人が、僕の好みだからと、テーブルに置いたのが、みすゞ飴。
O.ヘンリー様に、勝手にあやかって、
ささやかな賢者の贈り物の夜、でしたとさ……。
では。
註☞ 賢者(magi、英語の発音は、メージャイ)とは、新約聖書マタイ伝の中、神の子(新しい王)の誕生を、星の動きで知り、東方から、贈り物をたずさえてやって来た、三人の博士のこと)