素晴らしき洋菓子屋の 巻。

年老いた僕の中で、

もはや、クリスマスとケーキは、セットでもなんでもない。

まるで、大掃除と年末がセットでないように。

(だれが、この寒風の中、精出すものか、そんなのは暖かい時にやるさ)

けれど。

― あぁ、ケーキ食べたくなっちゃったぁ、あたし、モンブランが好きなのよ。

と訴えられて、

― なにも、今日でなくとも、と返したくなるのを、グッと抑えると、

― スーパーかコンビニので、よろしいかと。
いやいや、コンビニもなかなか精進していて、クオリティが高いよ。

うーん、シャト〇ーゼは、ケーキはあまり自慢できないしねぇ、

などと、鶴首相談の結果、

某スーパーの横にかまえる洋菓子屋に行ってみることにした。

それが、クリスマス当日の、午後4時過ぎのお話。(僕は運転手)

で、訪ねてみると。

お店は閉じていて、それこそ真っ暗。

僕には、すがしすがしい笑いと感動がこみ上げてきて、しかたがない。

クリスマスに閉店してですよ、

しんみりと、ひそやかに過ごすケーキ屋さんが、あるなんて。

これこそは、

前投稿で僕が論じたところの、

世界的に稀有な、奇々怪々のクリスマスを過ごす日本文化への、孤立無援とも言える挑戦でありましょう。

結局。

家人は、お隣のスーパーで、ロールケーキをひとつお買い上げ。

僕も、とどこおりなくお相伴にあづかったのであります。

今日、職場で。

その話を、ジョー氏にすると、

彼は、前日のイヴまで、死に物狂いで働いたであろう従業員を休ませた説、を主張するのです。

さて、読者諸氏のご説は、いかがでありましょう?

では。