冬のゲーフラ (後楽園ホール行 2024.12.16)

サッカーの旗は、既にたたんだ。

けれど。

先日は、別のゲームでゲーフラを掲げた、というお話。

場所は、約5年ぶりの後楽園ホール。

同じ夜。お隣りの東京ドームでは、

スノーマンのコンサートがあって、水道橋駅から行きも帰りも群衆の中を辿る。

実は、〈スノーマン〉とは何であるのか、数週間前に知ったばかり。

どおりでこういう客層が多数押し寄せているのか……。

僕のお目当ては、メインイベントの、

東洋/太平洋女子ライトフライ級王座決定戦(タイトルマッチ)

それがトリで、

その前に、8つ試合が催され、18:00の開始。

この夜。

全プログラム終了が、21:00を少し回ってまわっていたので、

みっちり3時間を、休憩もなく、リングを観続けていたことになる。

ゲーム前、僕のお隣に、女性のお二人連れが、着席した。

近いほうの御方、かなりのご高齢にみえる。

軽く、よろしく願います、と挨拶。

一見すると、汗と血しぶきが飛んできそうな、リングサイド近くで観戦したら、具合悪くなるのでは?

……といった要らぬ興味が湧いて、二言三言、会話する。

そしたら、連れの方について来る、とはおっしゃるものの、

なんのことはない、けっこう頻繁にここに足を運んでいいるとか。(川崎市ご在住)

僕など足元にも及ばない、ボクシング通なのだ。

で、僕の斜め右前には、楽しいヤジを飛ばす、中年男性。
(元プロボクサーで、一次は、ヤジが過ぎて、ホール出禁の身分だったとか)

観客を引き込んで、選手に声援を仕立てたりで、気が利いていて、

しかも、応援する選手へのアドヴァイスが、テクニカル的に、本当にそうだよなぁ、と納得させる。(昔はボクサーだもんね)

つまりは。

1,400人が座れるホールが、そこそこ一杯になって、

いろいろと役者がそろった、リング間近の指定席で、プロボクシングに浸った夜でした。

僕のお目当ての選手は、

後で聞いたら、自身の引退試合の位置づけだったらしいけれど、

8ラウンドフルにやって、惜しくも、判定で敗戦、の結果。

まことに残念でしたが、それはそれは、観ていて、緊張しまくりのグッドファイト!!

彼女はファイター型のボクサーなので、もっと飛び込んで左パンチで勝負したかったんだろうけれど、相手の軽快なフットワークと、手数の多さに苦しんだ感があった。

身長差(相手が低い)も裏目に作用したかも知れない。

パンチは、やはり、水平に繰り出すのが、体力の消耗がもっとも少ないのでは? (もちろんすべて素人の感想)

きつい減量(6㎏の)をして、階級を下げて闘うのは、こっちの想像以上の苦しさだったでしょう。

でも、いいものを魅せてもらいました。

若者が、(セコンドと声援はあるけれど) 孤立無援のリングで、あれほど、実は、

自分と格闘している姿は、そうそうみられません。

帰途。

水道橋駅前で、信号待ちをしていると、

たまたま、当夜の第6ゲームで、TKO勝ちをした選手がすぐ前にいた。

― おめでとう、いいボクシングでした (冷静な)。
これからを、期待してます。

人垣をかき分けるような握手になってしまったんですが、

振り返って、ありがとうございます、と応えてくれた彼には、

あのリング上の勇姿然は、まったく感じられず、

どこにでもいるような、好青年がひとり、優しく微笑んでいた……。

では。