僕の助手席に座った者は、否応なく、CDを聴き続けるハメになる。
マイルス デイビスの『’Round About Midnight』(アルバム,1956年発表)を流しておいたら、
隣の小学一年生が、曲のいわれを訊くので、
ジャズの美しさ、即興演奏の緊張感や、自在性、などについて話をすると、
その子、曲想から思いついたか、『お祭りマンボ』(1952年発表) の一節を、突然口ずさむ。
運動会の演目で、この曲に乗せてダンスをやって以来、お気に入りのご様子。
曲名の前には、必ず〈美空ひばりさんの〉とつけるところが、面白い。
この子にとっては、その存在がおぼろであるからこそ、さん付けで呼ぶんだろうか。
君と同じくらいで、歌手としてはじめて(9歳)、
子どもらしくない上手さだったこと、この曲は 15歳の時のもので、
30年くらい前に亡くなった、などと話す。
……たしか、死後、国民栄誉賞が授与されたんだった?
だから、史上、国民的な人気を誇っていたんだろうが、
僕は、世代的になのか、あまりこの人の歌唱に、こころを揺さぶられた記憶がない。
そもそも、一緒に時代を生きた、といった感覚がまるでない。
早熟な上手さは認めるが、年齢を重ねた〈深み〉は身につけないまま逝った歌い手のように思う。
僕の世代感だと、ココロに訴えるにおいては、藤 圭子が格別に良い。
で、日頃、その子が、けっこう助手席に居ることが多いから、
今は、心静逸にと願い、
ジャックジョンソンのアルバム『In Between Dreams』(2005年発表)をかけて、
オアフ島(ノースショア) に住んでいれば、こういう曲が生まれるのかなぁ?、と会話しています。
では。