一年ほど前のこと。
小学一年生に、
― 最近、調子どう?、と、(学校生活を念頭において)尋ねたら、
― ボーっと、過ごしている、と、笑いながら答える。
……なかなか洒落たことをいう、と感心した。
人間、考えることをやめると、〈時代〉に逃げ込みたくなり、
物事を見つめようとすれば、〈個人〉に迫らざるをえない。
ふと、そんな言葉が、口をつく。
年月に曝され、ものが漂白されると、
そこでは、個性が、押しつけがましくもなく、ただ静かにたたずんでいる。
果たして、そうなれるかな?
では。