戻っておいで 俺のもとへ。

職場の某課長が、

帰省した折に持って来た、といって、

『SUPER BEST MARI AMACHI』のタイトルがついたCDを、貸して下さった。

天地真理のベスト版で、16曲が収まっております。

― 9曲目まではわかるんだけれど、それから後の曲はピンとこないよなぁ、と課長。

貸していただければ、とにかく幸い。
だから、僕は、選曲に文句をつけるはずもない。

先頭のやつは『水色の恋』……。

高校生の頃だった。

友人のKと、ポップアート調に人間の死を暗示させる立体作品を一緒にこさえて、それに『水色の恋』と題して出品したのを想い出す。

まったく、暢気で無邪気な時代、でした。

当時、僕はむしろ、8時だよ全員集合で、
たとえ不得意であっても、仲本 工事に文句を言われながらも、器械体操に取り組んでいるキャンディーズのほうに、よっぽどプロフェッショナル精神を感じていて、彼らを好んでましたがね。

さて。

日々が、とめどなく過去に繰り込まれている世界に生きているのだから、

かつての或る時代に向かって、僕は、

戻っておいで、俺のもとへ (☞ Bring it On Home to Me、サムクック作、1962年発表)、とかは、到底言わないし、言いたくもない。

ところが、今の世、浜松あたりには、殊勝なお方もいらしゃって、カヴァーでもオリジナルでも、

’60 を、ガッチリ、カッキリと見事に醸した音楽道をまっしぐら、の仕事をしている。

これはこれで、吹っ切れていて、称賛に値します。

今回は、上に書いた、サムクックのカヴァーを、アカペラで挑戦。

二重唱を、わざとずらしているとこなんかは、憎い憎い。

こういうのが、’60 のソウルフルテイスト。

して、相当に巧いイングリッシュの発音は、つくづくと脱帽もの。

なお、原曲で、

戻ってこいよ、と呼びかけている相手は、かつて自分を棄てて出ていった恋人のことです。

では。