善良な同乗者について。

横に座っている者が、くるまの運転に与える影響は、けっこう大きい。

高速道路を走っていて、ふと時速90㎞にスピードダウンすると、

― こんな(遅い)んじゃあ、高速使ってる意味、ないじゃぁないの、

とお叱りを受ける。

あるいは、歩行者用信号が点滅を始めたので、アクセルを緩めたら、

― このまま、なんで行かないの !

はたまた、
― ほら、あそこに! 、と脇見を強要されたりで、たまったもんじゃあない。

 

数日前、友人(差し障りあるため、名は秘す) の奥さんが、自動車事故を起こした。

信号のある交差点に進入した際、左方から来た直進車と出合い頭に衝突したのだ。

友人は、この時、助手席に搭乗していたが、交差点にさし当った処で、

― あぁ、この交差点のたもとは、今は、花壇になってるんだ、と信号も注視しないで、漫然としていた。

で、次の瞬間、自分の側からアウディが突っ込んできて、ビックリ、唖然。

信号が青に変わったから自分は発信したのだ、と奧さんは主張したようだが、

自車のドライヴレコーダの画像で確認すると、当時、信号は赤、だった(らしい)。

どこの交差点だったのか?、教えてもらって、ピンときた。

そこは、僕の通勤経路で、交差点の数十メートル先には、信号が 2つ、川をはさんで、こっちの堤防と向かう岸に、それぞれ設置されていて、

事故が起きた交差点の信号よりも、2~3秒(おそらく)早く、2つ同時に青になるようプログラムされている。

推定だが、奥さんは、手前の信号を見落としてしまい、向かうの信号ふたつが青に切り替わったのをみて、つい発進してしまったのではないか。

友人には、

― ともかく、 君が (自分で)運転する気持ちで信号を見ていたら、事故は食い止められたかもね、と言ったんだけれど、

彼もまったく同意見。

あれこれと運転に口出する者。

他方、さしたる注意を払わず座って風景を観ている者。

どちらが同乗してくれれば、ドライヴァーは救われるんだろう?

では。