アルベール カミュ(1913~1960年) の小説『ペスト』(1947年刊) 。
ペストとは、自分たちの所業とは、まったくおかまいなしに襲ってくる厄災の象徴。
それに立ち向かうための人間の連帯が、多様な人物が絡んで描かれている……。
登場人物のひとりに、小説家志望の公務員がいて、
彼は、帰宅すると毎晩、小説を書き進めているらしく、ひとつの文章をいくども推敲していることを友人に熱心に語る場面が挟み込まれる。
独白に近いような会話が、人物の名前も、具体的なセリフも忘れてしまったのに、読後何十年も経って、ふと頭の中に蘇ってきた。
文学作品の不思議、あるいは、現実のなにかに触発されて起動する記憶の不思議さ。
そんな折、1970年代の楽曲をカヴァーしている動画を見つけ、ずいぶん懐かしくもあり、その上質さに驚いている。
もともとポール マッカートニーのアルバム『RAM』(1971年)、あれは、かなりの名盤だろう、と思っているので、それをこんな素敵なカヴァーで聴けるなんて、嬉しい限り。
それにしても、『ペスト』の発表から、『RAM』までに流れた歳月が、たったの20年とすこし……なのか。
今さらながら、でも、今でさえ、価値あるものは、僕の周りにけっこう多い。
では。