六月は、
いろんな berry (ベリイ) の熟れる頃。
梅雨の晴れ間、照り返しの庭で。
ジューンベリイの実をひとつ、ふたつ、もいでは口に含んでみる。
ごくたまには、しっかり甘いのもあるけれど、
だいたいは、甘味よりかは、飾らない酸味が、口内でまさる。
でも、戯れに楽しむ自然の甘さなら、あくまで、酸味と一体でなくちゃあ、いけません。
松本あたりでは、桑ズミ、と(方言で) 呼ぶ、桑の実もまた、
なんとかベリイ、という英語名らしい。
廃れた養蚕の名残りで、田畑のあぜ道には、桑が、いまも点々と残る地域に住んでいるのに、
実をつけている樹が、なかなか見つけられずにいた。
が、最近、ふとしたことで、拙宅から 1kmくらいの場所で、見つけたんですね。
樹高が 6~7mで、見あげると葉の陰には、何千という実をつけている。
枝を引き寄せて、すこし触れただけで、実がスッと落ちてしまう。
熟し切っている証拠なんだ、きっと。
柔らかい実を手に捕ったとたん、実がこわれて、指先が、出血したかのような鮮やかな赤で染まった。
この色素はアルカリ性だから、酸性の、レモン汁か梅干しで揉めば、中和され、たやすく消える。
それを識っていると、口の周りや手をむらさきにしたままで叱られることもなし。
小さい児が、酸、アルカリ、中和を学べる好機。
でも、今では、やはり廃れた遊びなのかな……。
では。