戦争と平和、と言うけれど『パリス、テキサス』

〈戦争〉の反対語として、〈平和〉が在る思考態度。

80年くらい前の4年間で、あれだけ徹底的に粉砕され、武装解除された記憶があれば、仕方がなかったかも知れないが、

要は、平和を語る際には、対極として戦争というものが必ず持ち出されてくる現象が、そろそろ不思議に思われてもいいんじゃあないか?

戦争が無ければ平和、というのも、ひどく乱暴な話でしてね。

戦争の反対語は、せいぜい、〈和平〉、すなわち、戦争を終わらせるための行動、に過ぎない、というのが今日の主張です。

『パリス、テキサス』(監督 ヴィム ヴェンダース)は、1984製作の 仏独合作映画。

題名は、テキサス州にある街パリス、に由来するので、パリス、と英語読みするのが適切。
ただし、日本では、もっぱら〈パリ、テキサス〉で通る。

或る家族の離散と、再会、そして……、を描く旅物語。

僕にとっては、作品そのもの、脚本(サム シェパード)、演出、撮影、音楽(ライ クーダー)、役者(ハリー ディーン スタントンら) のすべてが良く出来た映画。

こういう主題に触れてこそ、(あえて格好をつければ) 平和、なんてものを考えさせられる。

作品の冒頭、クレジットの文字が、鮮やかな赤であるところなんか、フランス映画の匂いがして、実に美しい。

では。