未達の勝利 (2022.7.17 福島戦レビュウ)

1 – 0 の、先行逃げ切り式の勝ち、でありました。

もちろん、4連勝は素晴らしいこと。

ただし、これを、ウノゼロの哲学とか、〈試合巧者〉とかは、僕の中ではとても言い得ないのです。

1点しか獲れないゆえに、最後は、なけなしの1点を、なりふり構わず交代カードを切って時計を進めているに過ぎない現実を直視すれば、そういう表現が、いかにみづからを偽っているかがわかります。

サッカーは、いかに他人を欺くかの競技ではある。

けれど、自分を偽った日には、たいした戦績は望めやしない (人生も同じか)。

……、ということで、このゲームの総括とは、

勝ち点3はモノにできたけれど、未達成を抱えながらのヴィクトリーであった。

未達成とは、ほかでもない、複数得点のこと。

開始早々3分のゴールは、住田 将からの縦パスを、横山 歩夢がゴールラインまで持ち込んでからクロスを投入、これに、ゴール前に走り込んだ住田が利き足の左でボレーを叩き込んだもの。

これ、住田と横山のワンツーが成立したところがポイントであって、それは、プレビュウで指摘したところの、〈他者を活かして、自分も活きる〉の見本であったように思う。

いくつものカウンター攻撃が発動された際に、もっとこの観点を大切にしてボールを動かしていれば、あと二度三度は、ゴールシーンが観られたのではないか?

横山からしてみれば、相手ディフェンスが3人がかりで止めに来る、なんてのはかなり名誉なこと。

けれど、周囲のサポートも含めて、横山に釣られた相手守備網を、もっと巧く利用してもらいたい、と望む。

それができるようになってはじめて、〈試合巧者〉と呼ばれるにふさわしいのでしょうし、おそらく横山自身のゴール数が上向くのではありませんかね?

もちろん、山雅が、それ相当の対福島戦術を仕込みながらゲームを遂行したのは事実。

3 – 3 – 2 – 2の初期システムを採用。

パウリ―ニョがワンアンカーの責を負い、その周辺の広い範囲を、住田と菊井 悠介がカヴァーすることで、攻守の切り換えスイッチを入れる。

パウリ―ニョの前にできるスペースを、福島のボランチ#40樋口らに自由に使わせないためには、ツートップが前線から追い込み過ぎないように自重して、陣形自体を、縦にコンパクトに保ち続ける。

福島のパスワークを逆手にとって、相手をサイド方向へ追い詰め、裏への抜け出しや、中央突破を抑止する。

さらに、終盤には、アンカーで疲弊したパウリ―ニョを下げ、前 貴之と住田をダブルボランチに配置。

そのためには、宮部 大起を投入して右サイドバックに配し、下川 陽太を左に回す、なんてのは、それなりに工夫したベンチワークでありましたから。

……以上、大きな課題を残しつつも、ゲーム内での修正がだんだんと板についてきつつの、2位浮上。

リーグ前半戦を上手くやりくりした、と言えましょう。

さて、もうひとつの未達成。

それは、(平均)来場者10,000 人の実現。

昇格とはおそらく、クラブ、チーム、ファン&サポーターが総力を結集することでもたらされる恵み。

だとしたら、チームにはこの先、勝利と進化を続けてくれ、としか注文するしかないけれど、自分にもできる何かを常に追い求めたいと、観客9,000 人超までやっとこさこぎ着けた昨夜、思った次第です。

では。