― ほんの一握りの人間が決めた賞になど興味はない、私が欲するのは、大衆の喝采だ。
とは、チャールズ チャップリン(1889~1977) の言葉。
確かにな、とは思う。
思うものの、人間にはどうしても優劣をつけたい要求があるようで、それが他意の無いお楽しみであるならば、師チャーリーには、大目にみてもらいたい。
米国の音楽誌Rolling Stone は、ベストソング歴代500曲、というランキングを、17年ぶりに更新して公開した。
昨2021年の、9月15日朝のこと。
500曲のうちおよそ半分、上位100曲のうち3分の1に、前回(2004年)には選ばれなかった曲が、入選している。
時代はとめどなく流れているんだから、当たり前といえばそれまで。
その第1位は、『Respect』(1967年)by アレサ フランクリン(1942~2018)
作者は、オーティス レディング(1941~1967)。
アレサはこれを、もっと、この私を大切に取り扱ってよ、という女性からの恋歌として、仕立て直した。
第3位は、『A Change Is Gonna Come』(1964年) by サム クック(1931~1964)
ボブ ディラン(1941~ ) の『風に吹かれて』にインスパイアされてサムが作ったが、ディランの曲を聴いた彼が、― これを、白人の若僧が作ったのか……、と感慨深そうにもらしたらしい。
そこには、プロテストは、俺たちのやることだろうに、という矜持と義務感が読み取れるような気がする。
そのディランは、第4位に『Like A Rolling Stone』(1965年)によって、ランクイン。
アコースティックギター一本で時代を評して歌う自分、との訣別を宣言した曲、というのが僕の持論。
ローリングストーン誌のランク付けの姿勢は、単なる愛唱歌、秀歌の収集という視線ではない。
時代や音楽に対して、どれだけ革新的なアンセムであるか、あったか?、という目線が際立つ。
その立場をリスペクトしながらも、このランキングは、けっこう楽しめる。
そんなこんなで、第1位のアレサが、第3位に入ったサムの曲をカヴァーしているのを、ただただ聴いているのです。
では。