最良の目利きに薦めたい『ヤング フランケンシュタイン』

ことキネマに関して、

作品に対する、いちばん冷徹なる批評家とは、たとえば、家人のような鑑賞者に違いない。

時間があるから映画でも観るか……、という接し方が、それ。

観るにあたって、無理をしてまで作家の美点、特長を探そうとはしないから、実に客観的にその出来不出来を評価できる。

まぁ、端的にいうと、途中で眠くなったり、飽きてチャンネルを変えてしまうか否か、それが作品に対する、もっとも正当なる報い。

すこし前になるけれど、

― なに観てんの、と訊くと、

―うーん、『ヤング シャーロック ホームズ』(1985年米) とかいう題名。
たしか、スティーブン スピルバーグ総指揮、となってた。

ふむふむ。
若き日のホームズが、寄宿舎に入寮するらしきシーンが画面に映っていた。

で、翌日。

― あれ、どうだった?

― 途中で寝ちゃったわ。

まぁ、その程度の出来だったんでしょうね。(僕は観たことがない)

そこで、つまらん作品の監督を調べると、へぇ、バリー レヴィンソンなのか。

『レインマン』(1988年)でオスカー(監督賞) を獲ってますね。

1984年には『ナチュラル』、1987年は『グッドモーニング ヴェトナム』を撮っているから、この頃、ノッてたんですな。

これら、3本は、けっこう僕のお気に入りなんです。

扱う時代背景は三つがすべて違っているけれど、80年代だからこそ撮れた作品、と言う感が深い。

で、このお方の映画デビュウは、メル ブルックスが撮った『サイレントムーヴィー』(1976年) の、脚本執筆への参加だったとは、はじめて知りました。

となると、同じ『ヤング~ 』ならば、今度は、家人には是非とも、

メル ブルックス監督の『ヤング フランケンシュタイン』(1974年)を観てもらいたいものです。

まぁ、こういうパロディやら、人を喰ったお遊びを、あまりお気に召さないだろうことは、予想してはおりますけれどね。

では、そのさわりの、アイゴール登場シーンだけでも、すこし。

しかし、昨年の今頃は、クロリスリーチマンの訃報を語っていましたが、ここに顔を出す役者は、インガ役のテリー ガー(1947~ )以外、すべて鬼籍に入ってしまった。

なんだか、切ない。

では。