家人がBSで録画してくれたやつの、おこぼれを頂戴した今回。
モーガン フリーマンが出ているから観る気になったんだけれど、そういう役者が現役ではあまり居ない、ってこと自体、キネマにトンとご無沙汰な僕の近況を物語る。
原題の意味は、重罪。
しかも複数形なので、犯された犯罪がいくつも在る、って寸法。
邦題は、そのまま、〈ハイ クライムズ〉。
思い切って意訳してもいいのでは?、と思うが、じゃあ何とする?、となると、これが、なかなかむづかしい。
『忘却の法廷』、『失意の法廷』、ぐらいかな、思い浮かぶのは。
しかし、これだと硬いか……。
『沈黙の法廷』じゃぁ、二番煎じだし。
感想の走り書き
12年前に起きた、米海兵隊員による、中米はエルサルバドルの民間人虐殺に関する軍事裁判を扱った、法廷物サスペンス映画。
軍隊内の法廷に、敏腕の民間弁護士(主人公、女性)が突っかかって闘いを挑む、というプロットが目新しい。
しかも、弁護するのが、元特殊工作員だった身分を隠して一緒に暮らす自分の伴侶、と来たもんだ。
その夫の無罪を、軍事法廷専門の弁護士(フリーマン)の協力下、立証しようと(文字どおり)砕身、奮闘する。
ただし、(サウスポーとか、いろいろと伏線が張られた) 結末に、どんでん返しが用意されていて、重罪が、結局は、法廷内で裁かれることがなかった(私的な制裁によって、でしか)、という仕立て。
そこのところの無力感による視点が、もっと強調されてもよかった、と思う。
法廷とは、ある意味、茶番の場所である、を言いたいのであれば、だ。
民間人殺害の背景には、実は、国家として機密にしたい陰謀が隠されていた。
ために、検察(軍)と弁護側の戦略と論点が噛みあっていないことが、エンドロールの後で、あぁ、そうだったのか、とわかる仕組みになっているが、どうも胸への落ち方が弱い。
まぁ、正義とは本来とらえ方でどうにでもなる、という現実の曖昧さ。
それを表現したかったんなら、それでいいが……。
記事タイトルを、描くことで救う、とはしたものの、一体何が救われたのか?が、観た後でよく考えないとピンとこないのは、やはり減点の対象でしょう。
最後、ふたりの弁護士の再開シーンで終わってよかったのか……を含め。
ただし、これ、交わされる英語がすべて理解できない者の理解不足から来るのかも知れないので、条件付きということで。
もちろん、安定のモーガン フリーマンでありまして、どこか敗残の匂いと、弱点を持ち合わせた有能な人物像、という期待を、やっぱり裏切らないのはありがたい。
したがって、68点(合格点)は、差し上げてしまうのです。
では。