ほんの数キロ先では、物凄い夕立で道が泡立つ。
ところが、拙宅の周りに来ると、空からは一滴も落ちてこない。
あるいは、その逆だったりで。
夏の盛りの午後。
雲と雨は、不思議なありさまで地上に届いたり届かなかったり。
夏を楽しめ、と若い世代に葉書を書き送っている手前、こちらもせいぜいそのように暮らしたい。
ブルース スプリングスティーン(1949年~ ) のアルバム『Born to Run』(1975年発表)の中で、どれか一曲を選べと言ったら、ラストに収まった『Backstreets』になる。
けれど、こんな空模様を考えて、今回は『Thunder Road』に。
アルバム冒頭に置いた、という重みのある曲です。
雷鳴の道
玄関の網戸がパタンと鳴ると、そのドレスが目をかすめる
ラジオの曲に合わせ踊りながら、ポーチを横切って来るメアリー。
ロイオービソンは、僕のような孤独な連中に向けて歌っている
そう、今夜共にいたいのは君、僕を家に追い返さないでおくれ
ひとりで自分と向かい合うことは とうていできそうにないんだ……
と、恋人を誘い出すシーンから始まる歌詞。
その中には、卒後式に着たガウン、が出て来るから、おそらく、この6月にハイスクールを終えたばかりの若者なんだろうか。
最後、
さぁ、メアリー、車に乗り込んで
敗残者であふれたこの街を 僕らは出て行くんだ
勝利を手にするために……
スプリングスティーンのコンサートでは、歌詞を暗記した観客が、歌手と一緒に歌う、ってのが定番。
いかに詩が重んじられているか、ということの象徴でもありますが、2018年にはこの曲に啓発された同名の映画が公開されていることを知った。
亡くなった母親が、この曲がお気に入りだった、という設定らしい。
テーンエイジャーの頃に、ブルース スプリングスティーンにハマった母とは、米国式の、それこそ鉄板な世代論ですなぁ。
機会があれば、観てみましょうか。
では。