人生、という旅路にあって、
高学歴とか、学校の勉強ができた、とは違った〈頭の良さ〉に出逢うと、けっこう救われる、というお話し。
今のように気軽にSNSを使える時代でない頃のこと。
知人の息子さんが、米国から帰国することになった。
息子さんからは、〇〇航空の、第〇〇便に搭乗する、という連絡だった。
けれど、遠い信州から成田へ迎えに出向くのであるから、どうしても確認をとっておきたい。
で、その航空会社に電話を入れ、これこれの事情なんだが、搭乗の有無を教えていただけないだろうか?、と訊ねる。
―誠に申し訳ありません、当社は、ご乗客に関する情報は一切開示することはできないのです、と男性の声。
それでも、なんとか、と必死に喰い下がると、しばらく沈黙したあとで、
―そうですね、もしもですよ、私が貴方であったならば、かならずや成田に向かうでしょうね、との返事。
双方に、大人の分別がないとできない会話なんだろうけれど、テロリズムが世界を浸している現在、こんなやりとりは、もはやできない相談かも知れないな。
では。