Jリーグはどうして、こういう情報をあまりにもサラリと、まるでおおかたの眼に触れさせないかのように発表するのか?
Jクラブの決算一覧がリリースされる度に思うことだ。
お金(=経営状況)のことは、勝敗や昇降格の、究極的な基盤であり、プロチーム運営会社の通信簿なのに、これほど脇に置かれるのかが不思議。
ファンサポーターの興味はそんなところには無い、と踏んでいるのかね?
とりわけ、強固なビッグカンパニーの支えもなくてチマチマやっているチームのファンサポーターは、愛するチームの財布の事情をおおまかでも知っていなければならない。
ひとつ間違えば、クラブ存続に直結するテーマになるからだ。
ところで、2019年分をざっと眺めていたら、奇妙な一致に気がついた。
ベガルタ仙台と山雅の営業収益(=クラブ予算)が、百万円単位でピッタリと同じなんです。
つまり、ともに約27億円の予算で参戦していた昨季だった。
主なる内訳を対比してみると……、
左が【山雅】に、右【仙台】で、
〈収入〉
営業収益 2,711(百万円) 2,711
スポンサー収入 1,145 1,165
入場料収入 695 615
Jリーグ分配金 371 360
アカデミー関連 30 77
物販収入 249 244
その他収入 221 250
〈支出〉
営業費用
チーム人件費 1,430 1,296
試合関連経費 263 150
―以下の項目は略―
営業利益 35 ▲245
当期純利益 71 ▲428
財政規模的には、このように双子的なふたつのクラブだが、ざっというと、
❶経営的には、営業利益(サッカーチーム運営という本業のもうけ)を確保した山雅が優れる。
❷仙台は、本業のクラブ運営で2億5000万円弱の赤字を出したうえに、1億4000万円近くの特別損失(内容は不明)を計上しているから、それを足すと、4億円以上の赤字。
当然、税金は納めていない(逆に3百万の還付あり)。 ……、そんなところか。
このような先期決算を踏まえてスタートした仙台。
コロナ禍による減収により、今季は7億円の営業損失を見込まざるを得ず、クラブ存続の危機であるとして、9/26付で、4箇月間にわたる「クラブ緊急募金」をスタートさせた。
宮城県民、仙台市民、ファンサポーターあてのこのメッセージ、経営主体みづからが、緊急!、とかいって募金に走るってのは、なんだかなぁ……。
要は、現時点で、地方政府やおおどころ企業の支援約束は取り付けていない、ということだろう。
でも、なりふりかまわずやるんだから、この際、目標金額を明示するくらいの強欲さを隠すこともなかろうに、と思う。
さて、以上は、いわば前置き。
おそらく山雅にしたところで、今季は確実に営業利益ベースで赤字転落だろうから、赤字縮小のそれなりの手当てはするにして、ファンサポーターとしても、クラブ経営の危うさだけは知っておきたい。
トップリーグ参戦にこだわるのはいいが、予算運営で背伸びし過ぎるとロクなことにはならないことは明らか。
フツーの会社ならば、赤字になっても、安易に〈寄付〉という世間の恩情にすがることなどできないのですよ。
かと言って、仙台よりもチーム人件費が高った山雅が、昨季トップチームリーグから陥落したのも、決して褒められたもんじゃあない !
55周年の山雅、今季いろんな苦悩があるけれど、100年続くことを目指して、頭を上げようか。
註:100周年デザインがなかなか秀逸なんで撮影。
この会社、生き残ってはいるが、創業家による経営は残念ながら、三代続かなかった非情。
では。