見て見ぬふりをする 嘘 (その1)


命を賭けているわけでもなく、たかが暇つぶしに観るに過ぎない。

だから、TV画面で〈過剰な演出〉が在ったとして、目くじら立てて責めることもあるまい。

メディアどうしで攻撃し合っているのだから、これこそ茶番。

観客は誰も、そんな摘発を頼んじゃあいない。

演出無きノンフィクション番組は、退屈で観る気も起らないだろう。

紀行や登山モノなどで、カメラがこちらへやって来る一行を写す、といった情景はわざわざ作り出しているわけで、定番的な架空。

さらに面白い画、面白いエピソードを入れてやれ、という意欲は自然に湧いてくるだろうから、そこに一線を引くことなど到底できやしない。

クイズ番組など、受けを狙ったおバカな役柄と答えが、既に仕込まれている。

テレビショッピングとか眺めると、露骨に煽るわ煽る。

こういう制作に走るメディアに、節度を期待するほうが間違いだ。

これは個人の感想です、と一瞬小さく画面に入れると同様、

〈演出のため画像/会話を選択して再構成しました〉と但し書きしたらどうか?

では。

〈コメント〉
☞つーさん より (7/23 16:47)
過剰な演出を皆で笑おう。
演者にはまったく演出の意図はなく、製作者の演出のみで観る者に感動を与えた映画「東京オリンピック」市川崑監督。
選手の表情、息づかい、筋肉の動きなどを超望遠で捉える技法を駆使し、観る側に選手の緊張感、躍動感がストレートに伝わる傑作に仕上がった。
最近、極端な演技を製作側から強要され、世間の非難を浴び自殺した女子プロレスラーもいたが、過剰な演出を強要する作り手、それを何も疑わず、あるいは仕事と割りきって呆れる演技をする出演者。まったく視聴者を馬鹿にしているとしか思えない。
この深刻なコロナ禍、報道番組の裏側でそんなバラエティー番組、クイズ番組が、最近特に目立つ様に思う。こんな事では、テレビはますますマスメディアとしての価値を落とし続けるだろう。
では、また。

☞萬年より (7/23 17:02)
『東京オリンピック』ですか。
まさに、本日にふさわしい話題ですね。
その作品製作のエピソードをひとつ。
監督の市川は、閉会式も開会式同様、国別行進で始まるだろうから、スタジアムの撮影担当すべてには、その冒頭はカメラを回すな、と指示してあった。
ところが、当夜の閉会式は前代未聞で、選手らが一斉にグチャグチャにスタジアムに入ってきた。
市川、これはマズイ、と思ったが、時すでに遅し。
指示を変えることができず。
ところが後でフィルムを回収してみたら、撮影者すべてが式を最初から記録してあった、という。
演出の監督などおかまいなしのプロ魂、というお話。