雨降る休日に、DVDで(ひとり)鑑賞。
いちばんの感想。
あぁ、高倉 健という役者は、こういう作品で仕事をしたかったのか……。
逆説的には、高倉 健の影ばかりが作品全体を覆う作品ではなくて、と言ったらよい。
丹波 哲郎、山形 勲、南田 洋子、高千穂 ひづる、大坂 志郎、江原 真二郎、浦辺 粂子。
※うち生存するのは、江原ひとりになった。
これだけ達者な役者が揃い、かつ、ガッチリ演じれば、高倉 健はその中に在って、気ままに軽やかな演技に没頭しているようだ。嬉々として。
本来、こういった自由闊達さが、役者高倉の生地だった、と強く感じる。
そうか。
『あ・うん』(1989年) で高倉 健は、他人の女房に純愛を秘めながらも、女性問題で妻を泣かし続ける男の、虫の良いいい加減さをこそ、演じたかったのだ。
そこに、高倉の挑戦が在ったはず。
作品が上品に仕上がっていることで、僕はいままで目を眩まされていた。
僕たちが何となく持ってしまっている〈健さん〉幻想の出所をいまさら追究しようとも思わない。
けれど墓の中で、「自分のことを伝えることにも、不器用なもので……」と呟いている高倉 健がいるように思ってしまう。
註: 画像は高倉健が気に入ってしばしば訪れていた、山峡の温泉場。萬年の秘湯でもある。
では。
〈コメント〉
☞つーさんより (6/22 7:19)
雪の中、耐える男であってほしい。
高倉健の大ファンを自認しながら、彼の一方の側面しか見ていなか
私の心は、寡黙で不器用でじっと何かに耐える彼に執着している。
私人としても、真面目で腰が低く思い遣りのある人だった。
しかし、大ファンを自認するなら、彼が軽やかに自由闊達に演じる
では、また。
☞萬年より (6/22 11:24)
雪中の孤高なスキーヤーへ
この映画は、高倉 健が1946年の同名作品に惚れ込んだあまりリメイクを訴えて製作されているので、どうしてもやりたい役だったと思います。
と同時に、彼に話が持ち込まれたものの、出演ならなかった作もあったでしょうね。
ひとつの道を選ぶということは、他の可能性を棄てることでもありますが。
では。