友人のK君によれば、モノクロ映画の極致、の作品。
第二次世界大戦直後のヴィエンナ(Vienna、英語読み。ウィーンとも)は、英米仏ソの四か国分割統治下。
この物語の舞台だ。
作品の公開当時は、さぞかし同時代の匂いに満ち満ちていただろう。
ことに、敗戦国日本の映画館では、なおさらだったはず。
英米の共同製作、となっているが、英国(軍人)側に正義が宿り、米国人が悪役(密売人)と、三文小説家(その友人)を演ずるとくれば、カテゴリーは、英国映画。
作中、死んだと思われた主人公(オーソン ウェルズ)が、夜更けの街で酩酊した友人(ジョセフ コットン)の前に現われる場面が秀逸。
史上、これほど完璧な主役の登場シーンはない。
オーソン ウェルズがライトに浮かびあげった瞬間に始まるテーマ曲。
これも、有名過ぎる。
某国では、ビールのCM曲にまでなった。
いくら傑作とはいえ、犯罪映画の曲を、製品のCMに使うとは……。
では。
〈コメント〉
☞つーさんより (6/21 8:48)
地震のない国なのだろう。
確かに、あの登場シーンは、秀逸でした。
地下道を逃げる彼の緊迫感を光と影で表現し、さらに場面を傾ける
特に印象に残るのが、マンホールの鉄の隙間から出ている彼の指の
友人を裏切った男を許さず、毅然として立ち去るアリタヴァリの、
どの場面を切り取っても、絵になる、そして緩急を付けたチターの
それにしても、戦争で破壊された跡が残りながらも、下水道が整備
では、また。
☞萬年より (6/21 16:23)
非合法活動のことを地下に潜る、というのは直接的な表現なんだと、この映画を観て実感。
大戦時、レジスタンスが成立したのも、こういう都市構造が在ったからでしょうね。
ただ、オーソン ウエルズは下水道シーンの撮影を拒絶して、スタントマンを使ったらしいです。
では。